琉球競馬ンマハラシー
琉球競馬ンマハラシー
馬場を囲むようにそびえ立つリュウキュウマツの並木。その左右の土手に詰めかける着飾った見物人。鳴り響く指笛。歓声。熱気。その中を華麗に走る琉球馬たち。
琉球王朝時代から300年以上も続き、かつて沖縄県民にとって最大の娯楽だった琉球競馬。沖縄方言ではンマハラセー(馬走らせ)やンマスーブ(馬勝負)と呼ばれ、小柄な沖縄在来馬2頭が直線走路を走り、速さではなく走りの美しさを勝負する、世界にも類がない競馬でした。しかし歴史の荒波に飲まれるように文化が途絶え、失われた記憶さえも戦前生まれの高齢者だけのものになりつつあったのです。
2013年3月、沖縄こどもの国が「琉球競馬ンマハラシー」としてこの伝統文化を約70年ぶりに復活させました! 出場する馬は、日本最西端の地、与那国島にだけ生息する与那国馬や、韓国の在来馬である済州馬、ポニーなど小柄な馬たちが中心。体高が低いので観客と馬たちの目線が近いのも嬉しいポイント。騎手は沖縄の伝統織物「知花花織」の羽織袴など、あでやかな衣装を身にまとい、馬具にも装飾を施します。
この琉球競馬、そのすべてがユニークなんです!
2頭が馬場に入ると紅白二手に分かれて、それぞれがスタート地点で小さく円を描くように歩きながらお互いのタイミングを計り、2頭の騎手が声をかけあって勝負を始めます。全力疾走をすると失格! 沖縄方言でイシバイ(落ち着いた走り)やジーバイ(地走り)と呼ばれる細やかでゆったりした走りで、ゴール地点にいる審判に向かって二頭で並走します。審判は走り方の美しさで勝敗を判定して、2頭がゴールすると紅か白の手旗を揚げて勝ち馬を告げる、という競技なんです。素人目には勝敗がわからない勝負もありますが、そんな時は進行役が勝敗のポイントを解説してくれるので、初めての方も安心して楽しめます。
着飾った小柄な馬が、騎手と息を合わせて一所懸命走る姿はなんとも愛らしく、いつまでも見ていたい気持ちにさせられます。「琉球競馬は、美技を競うフィギュアスケート」という表現が納得の伝統文化です!
参考文献
消えた琉球競馬 幻の名馬「ヒコーキ」を追いかけて
商品名 | 琉球競馬ンマハラシー |
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地名 | 沖縄県沖縄市 |